
老老介護世帯が直面した、住まいの現実 ―
古いアパートでしたが、駅や病院へのアクセスがよく、
近隣の環境にも恵まれた場所で、約15年暮らしてきたご夫婦がいました。
そこは、ただの「住居」ではなく、
介護と医療を続けていくための生活の拠点でした。
春、突然告げられた「家賃値上がり」
ある春の日、大家さんから連絡が入ります。
- 建物の外壁工事
- 防犯カメラの設置
それに伴い、家賃を値上げするという内容でした。
建物の安全性が高まること自体は、悪い話ではありません。
けれど、年金を中心とした暮らしにとって、
その値上がりは、簡単に受け入れられるものではありませんでした。
老老介護という現実
ご主人は 要介護2。
歩行が不安定で、外出には不安があります。
奥さまは 要介護5。
下半身麻痺があり、日常生活のほとんどに介助が必要です。
この生活は、今の住環境だからこそ成り立っているものでした。
頼れる家族はいない
このご夫婦には、お子さんはいません。
親戚は遠方におり、しかも介護が必要な状況。
実質的に、
身近に頼れる家族はいない状態でした。
ケアマネより先に、市町村へ
介護の相談といえば、ケアマネジャー。
しかし今回、ご主人はケアマネより先に、市町村へ電話をし、相談に出向きました。
理由は明確でした。
介護の問題以前に、
「住む場所がなくなるかもしれない」
という、生活の根幹が揺らいでいたからです。
市町村では、
について相談を行いました。
しかし、市営団地はすぐに入れるわけではありません。
- 空きが少ない
- 抽選制
- バリアフリー物件はさらに狭き門
「住まいを確保する」こと自体が、難関なのです。
「引っ越せばいい」では済まされない現実
引っ越しには、
- 体力
- 介護環境の再構築
- 医療機関・サービスの変更
- 新しい地域への適応
多くの負担が伴います。
老老介護の世帯にとって、
引っ越しは「環境の変化」ではなく、
生活そのものを作り直す行為です。
住まいは、すべての土台
介護も、医療も、支援制度も、
住む場所がなければ続けられません。
突然の家賃値上がりが、
老老介護世帯をここまで追い込んでしまう――
これは、誰にでも起こり得る現実です。
最後に
このご夫婦のケースは、決して特別ではありません。
今後ますます増えていく、
身寄りのない高齢者・老老介護世帯の未来です。
「住まい」「介護」「お金」
これらを切り離して考えない支援の仕組みが、
今、強く求められています。
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